- 学資保険を契約している、考えている
- 学資保険代わりに低解約金返戻金型終身保険を契約している、考えている
- 学資保険を解約した理由、体験談が知りたい
- 教育費の具体的な準備方法について知りたい
こんにちは、ももたまです。
子供が生まれると誰もが気になる教育費、そして同時に考えるのが学資保険ではないでしょうか?
私達も子供が生まれた当時、「とにかく貯金よりは良いだろう」という軽い気持ちで契約しました。
ただ結論から言えば、学資保険はとても中途半端でリスクとリターンが見合っていません。
- 教育費を貯めたいなら銀行預金
- 教育費を増やしたいなら資産運用
そして、私達は「教育費の準備には銀行預金と資産運用を組み合わせること」が良いと今は考えています。
そこで今回は、学資保険に関して以下の4つについてまとめました。
- 学資保険と低解約返戻金型終身保険について
- 私達が学資保険を解約した4つの理由
- 契約中の学資保険を解約するべきポイントとは?
- 私達がおすすめする教育費の具体的な準備方法
「みんなが契約するから学資保険」と考えるのではなく、「自分にとって学資保険が必要なのか?」を考えましょう。
目次
学資保険と低解約返戻金型終身保険について
一般的な学資保険は、長期間にわたって保険料を支払い、何かあった時には保険料の払い込みが免除になります。
一方で、私達は学資保険の代わりとして、低解約返戻金型終身保険を契約していました。
低解約返戻金型終身保険と学資保険を比べると以下のような違いがあります。
- 万が一の場合、死亡保険がすぐに受け取れる
- 満期後も解約しなければ、解約返戻金は増えていく
つまり、学資保険よりも保証が手厚く、解約をしないことで資産運用にもなると言われています。
保険料の支払い期間を短くして、学資保険の代わりに契約をしている人も結構多くいます。
今回の記事では、どちらも学資保険と表現しますが、結論は変わらず「どちらも不要」です。
そこで、実際に学資保険(低解約返戻金型終身保険)を契約していた私達が、「なぜ解約したのか?」をみていきましょう。
私達が学資保険を解約した4つの理由
学資保険は教育資金を貯める目的にも、増やす目的にも適していないと私達は考えています。
それぞれの目的別に、私達が解約した4つの理由を以下にまとめました。
貯める目的
- 理由①:保険には倒産・元本割れのリスクがある
- 理由②:お金が必要な時に使えない
増やす目的
- 理由③:学資保険の運用利回りは低い
- 理由④:インフレリスクに対応できない
理由①:保険には倒産・元本割れリスクがある

みなさんは2000年に入ってから、保険会社が6社も倒産していることを知っていますか?
保険会社 | 破綻時期 |
---|---|
第百生命 | 2000年5月 |
大正生命 | 2000年8月 |
千代田生命 | 2000年10月 |
協栄生命 | 2000年10月 |
東京生命 | 2001年3月 |
大和生命 | 2008年10月 |
もちろん、保険会社が倒産した場合でも、契約や積立金がなくなる可能性は低いです。
生命保険契約者保護機構という機関があり、引き継ぎ先の会社を探したり、引き継いだ会社を援助します。
そして、国内で保険事業を行っている全ての会社が、生命保険契約者保護機構に加入しています。
ですが、契約や積立金の全てが保証されるわけではありません。
画像は破綻時の契約移行のイメージですが、破綻後の保険金額が大きく下がっていることが分かります。
特に学資保険のように貯蓄性の高い保険は、利率の引き下げや元本割れの可能性が高くなります。
銀行預金の場合は、仮に銀行が破綻してもペイオフによって、1,000万円までは保証されます。
理由②:お金が必要な時に使えない

学資保険では子供が生まれてから、契約によって最小10年~最大22年という時間をかけて積立をしていきます。
当たり前の話ですが、保険期間中は支払ったお金を利用することはできません。
もし途中で減額や解約をすると、積立額より少ない金額しか受け取れず、損をすることになります。
ところが実際のデータを見ると、保険の解約経験率は直近3年間で9.2%、つまり10人に1人が解約しているのです。
・平成27年からの3年間において、民間保険の解約・失効率は9.2%。
・平成24年からの3年間において、民間保険の解約・失効率は11.2%。
・平成21年からの3年間において、民間保険の解約・失効率は12.4%。
(出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」より)
さらに、解約した保険の平均契約期間は約13年間、そして解約理由の上位3つ(複数回答有り)は以下の通りです。
- 医療費や入院費のため(59.9%)
- 万一のときの家族の生活保障のため(45.2%)
- 万一のときの葬式代のため(13.4%)
(出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」より)
保険を契約する時に、解約を前提に契約をしている人は本当に少ないです。
それにも関わらず保険を解約する人が多いのは、未来を見通すことが誰にもできないからです。
だからこそ貯める目的であれば、元本が保証され、いつでも引き出せる銀行預金がおすすめです。
理由③:学資保険の運用利回りは低い

2020年7月の時点で契約ができる、代表的な学資保険を以下にまとめました。
ソニー生命 | JA共済 | 第一生命 | 東京海上日動あんしん生命 | |
---|---|---|---|---|
保険料払い込み期間 | 10歳 | 12歳 | 15歳 | 18歳 |
満期年齢 | 22歳 | 22歳 | 18~22歳 | 22歳 |
返戻率 | 約106% | 約105.7% | 約102.7% | 約85% |
返戻率が100%未満ということは、積立金額よりも少ない金額しか手元に戻ってきません。
学資保険に死亡保障などの特約をつけると、返戻率が100%よりも低くなります。
保険会社に言われるがまま契約して、数年後に気づいたという人も結構多くいます。
さて利回りを考えるために、返戻率が一番高い、ソニー生命の学資保険をみてみましょう。
ソニー生命の学資保険(無配当)Ⅲ型 | |
---|---|
受取学資金総額 | 200万円 |
保険料払込期間 | 10年 |
年払い保険料 | 1,880,360円 |
保険料受け取り回数 | 5回(18,19,20,21,22歳) |
受け取り金額 | 40万円 |
返戻率 | 106.3% |
返戻率106.3%ですが、これを年利に換算するとわずか約0.425%です。
オリックス銀行のeダイレクト預金(インターネット取引専用)なら5年定期で金利は0.3%です。
保険のリスクが無い銀行預金との金利差はわずか0.125%と、保険で運用する魅力が無いことが分かります。
さらに合わせて考えたいのが、資産運用の世界における平均利回りについてです。
運用商品 | 2020年予想値 |
---|---|
日本国債 | 0.30% |
先進国国債(為替ヘッジあり) | 0.30% |
先進国国債 除く日本(為替ヘッジあり) | 0.30% |
米国総合債券(為替ヘッジあり) | 1.20% |
米国ハイ・イールド債券(為替ヘッジあり) | 3.40% |
米国大型株式(為替ヘッジなし) | 3.90% |
世界株式(為替ヘッジなし) | 4.80% |
日本大型株式 | 5.50% |
(出典:J.P.モルガンの超長期市場予測より)
国債、債権、株式という順に利回りは高くなりますが、国債でも利回りが学資保険と大差がないと分かります。
そのため、お金を増やす目的であれば自分達で資産運用を学び、始めることがおすすめです。
例えば、全世界の株式に広く投資ができる、下記の2つの投資商品の運用利回りをみて下さい。
商品 | eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | VT (バンガード・トータル・ワールド・ストックETF) |
---|---|---|
種類 | 投資信託 | 米国ETF |
設定日 | 2018年10月31日 | 2008年6月24日 |
運用年数 | 約1年6ヶ月 | 約12年 |
設定来利回り | 6.1% | 5.7% |
年利5%、月2万円、10年間積立をした場合、積立金額240万円は約310万円になります。
私達も学資保険を解約して、2019年3月から資産運用として米国ETF投資に取り組んでいます。
実際に資産運用を始めるための具体的な方法については、下記の記事にまとめたので参考にしてみてください。

理由④:インフレリスクに対応できない

みなさんは日本において、教育費のインフレが大きく進んでいることを知っていますか?
特に私立大学の授業料は年々上がっており、今後も上がり続けることが予想されています。
インフレ、つまり物価が上昇するということは企業の売上が伸び、ひいては株価が上がることになります。
一方で保険の場合は、契約したタイミングで利回りが決まるため、インフレに対応ができません。
そのため、運用して返戻金が多少増えていたとしても、インフレが進むと結果的に資金が足りなくなります。
例えば、約188万円を先程のソニー生命の学資保険で22年運用した場合を考えてみましょう。
- 学資保険の運用結果:188万円→200万円
- インフレ率(年0.5%):188万円の物→208万円に値上がり
そのため増やす目的であれば、インフレに負けない資産運用が必要不可欠と言えます。
さて、私達が学資保険を解約した4つの理由をみてきましたが、契約しているすべての人が解約すべきではありません。
そこで、学資保険を解約すべきポイントについてみていきましょう。
契約中の学資保険を解約するべきポイントとは?
現在、学資保険を契約している人は、以下の3つのポイントを確認しましょう。
- 学資保険の支払期間
- 既に支払った金額の合計
- 今すぐ解約したときの返戻金の金額
解約時の返戻金は、保険会社に問い合わせをすれば教えてくれます。
今回は分かりやすいように、解約タイミングを以下のように分けて考えてみましょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
解約検討商品 | ソニー生命の学資保険(無配当)Ⅲ型 |
保険料払込期間 | 10年 |
解約返戻率 | 60% |
運用利回り | 年利5% |
解約タイミング | 3,5,7,9,10,11年目 |
学資保険を続けた場合と、解約した後に年利5%で運用した場合を比較してみました。

22年後の運用結果
- 学資保険:200万円
- 3年目解約+運用:約374万円
- 5年目解約+運用:約325万円
- 7年目解約+運用:約275万円
- 9年目解約+運用:約226万円
- 10年目解約+運用:約202万円
- 11年目解約+運用:約192万円
今回の例では、保険料払込期間の10年目が解約すべきタイミングと分かります。
払い込みが終わり、保険の契約期間が長い場合は解約をしないという選択も必要になってきます。
ただし、今回の例はあくまで「22年目に解約をする前提」ということも合わせて覚えておきましょう。
もし、生活に余裕があり22年目以降も運用し続けられるなら、学資保険はすぐに解約すべきです。
資産運用の期間が伸びれば伸びるほど、運用益が増え続けていく可能性が高いからです。
学資保険が不要と分かりましたが、私達は教育費の全てを資産運用で準備すべきとは考えていません。
そこで、私達がおすすめする教育費の具体的な準備方法を最後に紹介します。
私達がおすすめする教育費の具体的な準備方法
教育費は子育てをする上では絶対に必要だからこそ、資産運用だけではリスクが大きくなります。
そこで、私達がおすすめする教育費の準備方法は、銀行預金と資産運用の組み合わせです。
今回は私立高校→私立理系大学に進学すること、そしてインフレも想定してみましょう。
学費 | 学費(インフレ0.5%) | |
---|---|---|
私立高校(15歳) | 300万円 | 321万円 |
私立理系大学(18歳) | 540万円 | 587万円 |
私達は以下の3つの組み合わせで、教育費を準備することをおすすめします。
15歳 | 18歳 | |
---|---|---|
①児童手当 | 約200万円 | |
②貯蓄(月2万円) | 約360万円 | 約432万円 |
③運用(月2万円) | 約520万円 | 約677万円 |
そして15歳の段階で、経済状況に合わせて「銀行預金か運用のどちらを取り崩すのか」を決めましょう。
- 株価暴落中→児童手当、貯蓄から捻出
- 株価好調+生活に余裕無し→運用から捻出
- 株価好調+生活に余裕有り→児童手当、貯蓄から捻出
資産運用は長期的に運用し続けていくことで、損失が減り、大きな成果を得られる可能性があがります。
一方で、暴落がいつ起こるのか分からないからこそ、15歳までに銀行預金の積立もしっかり行いましょう。

まとめ:教育費は銀行預金+資産運用で準備
今回は学資保険に関して、私達が実際に解約を決めた4つの理由をまとめました。
- 保険には倒産・元本割れリスクがある
- 必要な時にお金が使えない
- 学資保険の運用利回りは低い
- インフレリスクに対応できない
また、学資保険を既に契約している場合は、解約返戻金と運用期間から満期時の金額を比較しましょう。
解約返戻金が極端に低い場合や、運用期間が短い場合は学資保険を継続することも大切です。
そして、これから教育資金を準備する場合は、「銀行預金+資産運用の組み合わせ」が良いでしょう。
資産運用は絶対に儲かるわけではないからこそ、リスクに合わせて児童手当や銀行預金も重要です。
一方で、インフレや教育資金に限らず、老後資金にも資産運用は大きな武器となります。
これから資産運用を始めたいと考えている人は、ぜひ私達と一緒に取り組んでいきましょう。
